ITmediaニュースとMouRaバチェラーズニュースのきょうどうきかく「おもしろさはだれのものか」、そのバチェラーズサイドとして、こんかいはガイナックスのはんけんぶもんのちょうであるかみむらやすひろしにインタビューをおこなった(ぜんぺん)。
【たのがぞう】 ガイナックスは「スグレたさいのうをもつアマチュアがあつまり、プロとしてさくひんをつくりはじめた」というでんせつをもつしゅうだん(※)。げきじょうえいが「おうりつうちゅうぐん・オネアミスのつばさ」('87)、OVA「トップをねらえ!」('88)、「ふしぎのうみのナディア」('90)、「しんせいきエヴァンゲリオン」('95)など、たすうのめいさくをよにおくりだしてきたえいぞうせいさくかいしゃである。
(※)ITmediaへんちゅう:ガイナックスは、にっぽんSFたいかい「DAICON3」(1981ねん)のオープニングアニメーションにかかわったがくせいらでこうせいした「ダイコンフィルム」がぼたいとなってせつりつされた。ダイコンフィルムは「DAIKON4」(1983ねん)で、とうじにんきのとくさつばんぐみをパロディかしたえいぞうさくひん「あいくに戰隊だいにっぽん」をはっぴょうし、アマチュアさくひんとしてはぐんをぬいたしつのたかさがわだいになった。
どうじんしにだいひょうされるかっぱつなファンかつどうが、にっぽんのキャラクターぶんやのゆたかなどじょうになっていることをひていするひとは、そうはおおくないだろう。しかしきんねんこのファンかつどうも“ITか”がすすみ、かつてはコミックマーケットのようにげんていされたてんじかいで、てわたしでうられていたどうじんしが、ぜんこくつうはんなどもおこなわれるようになった。
またいぜんならば“クチコミ”でかんそうをつたえあったファンのこうりゅうだったが、げんざいではどうがサイトにおもしろいとおもった(あるいはそのぎゃくの)さくひんをアップロードするというこういもみられるようになった。
こうしたじょうきょうについて「こうしたコミュニケーションがさくひんのにんきにひをつけた」あるいは「にんきをちょうきにわたってささえた」というこえもあるいっぽうで、「DVDなどしょうひんのりえきをそこなっている」というしてきもある。
きぎょうかつどうぜんたいが、“グローバルスタンダード”をようきゅうされるようになり、またせいさくいいんかいほうしきをはじめ、たすうのきぎょうのしゅっしをうけいれてさくひんがつくられるようになると、いちしゃのはんだんで「じぶんたちはグレーゾーンをようにんする」とはうちだしにくくなってくる。そしてさくひんせいさくやそのこうかいについても、じょうけんをしょうさいにけいやくでさだめるひつようもでてくる。
そこに、どうじんかつどうのようなグレーソーンはかいざいしにくい。だからきせいもあるていどしかたのないことではないかとおもう。だがそのいっぽうで、そうさくというこういは、クリアなけいやくしゃかいになじまないほんのうをともなっているようにもかんじられるのだ。
そうしたじじょうについて、ガイナックスかみむらしにしゅざいした。ガイナックスはファンかつどうをぼたいにしたというすこしかわったはいけいをもつプロのしゅうだんであり、たとえば「エヴァンゲリオン」では、ファンサイトのためにかんたんなしんせいをおこなえばつかえるがぞうをじゅんびするなど、どくじのスタンスをもつことでしられるかいしゃである。そうしたひとたちならば、キャラクターぶんやの「グレーゾーン」について、どのようにはだでかんじているのだろうか。これがこのしょうのしゅだいだ。
●いきおいをそいでしまってはつまらないじゃないですか
「アニメブームのさいしょきのころ、『うみのトリトン』('72)でファンかつどうがもりあがって、それがさらに『うちゅうせんかんヤマト』('74)のときにひろがっていった。とうじもすでにそうしたファンかつどうがさくひんのにんきのしたざさえをしているというにんしきは、かなりつくりてがわにもつたわっていたとおもいます。
ファンかつどうって、さいしょにみんながやるのはけいもうかつどうじゃないですか(えみ)。こんなおもしろいさくひんがあるんだ、じぶんはこういうよみときかたをしたとか、そうしたじょうほうをこうかんするのがどうじんかつどうだったんですけども、それが80ねんだいにはいるとようすがかわってきて、2じそうさくがしゅりゅうになってきた。このさくひんのキャラクターをつかって、じぶんのせかいをつくります、というような。
まだわれわれははんけんもとではありませんでしたが、コミックマーケットのさんかしゃがまだすうせんにんきぼだったころ、とうじははんけんもとがわもファンかつどうについて、『よくはわからないけれど、さくひんをもりあげてくれているな』というくらいのにんしきでコウイてきにみていた。そのころはまさかコミックマーケットが、あんなウルトラマーケットにそだつなんておもっていなかったですからね。だからあまり、けんりがどうとかいうことまで、かんがえてはいなかったんだとおもいます。
しかしそのマーケットがひろがっていくかていで、なんどかせいやくのかせ(かせ)をつくるタイミングはあったのでしょうけど、よくいえばかせをはめないままでうまくいってきた。ことばをかえるとせいぎょするタイミングをいっしてしまったといえるのかもしれないですけども(えみ)」
――やはりどこかでファンかつどうはせいやくされるべきだとかんじているのでしょうか。
「いや、ぼくはそういうかぜにはおもわないですね。ファンのいきおいをそいでしまってはつまらないじゃないですか。これは、よいわるいというはんだんではなくて、それではつまんないでしょうというかんかくです。
まあ、やっぱりどうじんしのなかには、つくりてがわにとってカチンとくるようなひょうげんだってないわけじゃないですけれども、まあ、それはそれでさくひんのたのしみかたのひとつではある。さくひんというものはかんせいしてしまえば、つくりしゅのてをハナレてしまうものですから、そこでおこったみてくれたひとのかんそうやエモーションは、せいぎょのしようがないものですよね。
ファンかつどうというものは、われわれぜんたいにとってプラスのこうかをうんでいるとはおもっていますけど、じゃあそれをていりょうてきに、どれぐらいのがくになるんだとかひょうかするのはもう、むずかしくてよくわからないです」
●そうほうにとってひじょうによかった
――ただおなじファンかつどうでも、アマチュアがフィギュアなどのりったいぞうけいぶつをつくるガレージキットのせかいでは、イベントとうじつ、かいじょうないでのみさくひんのはんばいがきょだくされる「いちにちはんけんせいど」がうみだされ、ファンかつどうでも、きちんとはんけんしょりをおこなっているケースがあります。ガレージキットのそくばいかい、ワンダーフェスティバルは、こうしたせいどにもとづいてうんえいされていますが、どうじんしとちがってこちらはなぜ、このようにせいちょうしたのでしょうか。
「どうじんしはあるたねはなしがいといいますか、はんけんもとやもともとのライセンシーであるしゅっぱんしゃなどがせいぎょふかのうなりょういきではってんしてきた。しかし、どうじんしはいわゆるしじょうしょうひんとはキョウゴウしないとおもうんですよ。たとえば『エヴァンゲリオン』のどうじんしがごうけいでなんまんぶうれたとしても、きほんてきにはかどかわしょてんのコミックスのうりあげがそれでおちるということはないとおもいます。
しかしガレージキットのほうは、せいどがあがってくるとしじょうしょうひんとのキョウゴウがはっせいしうるわけですよ。じっさいもんだいとして、ガレージキットのせいでプラモデルがうれなくなるということはないとはおもうのですが、おなじどひょうにあがってしまうのはたしかなんですよね。
だからもし、きびしいしょうひんかんりをおこない、ロイヤリティをしはらってしょうひんをはんばいしているせかいにたいして、アマチュアがつくった、プロにひけんしえるしょうひんがむきょだくでうられるせかいがそのままつづいていたら、げんざいではかなりもんだいしされていたとおもいます。
80ねんだいに、しょうロットていコストのりったいふくせいぎじゅつがうまれて、それをつかったガレージキットメーカーがぼっこうしてきました。ガイナックスのぜんしんであるゼネラルプロダクツやかいようどうが、マニアむけせいひんのかいはつ・はんばいをはじめたいっぽうで、アマチュアのかたがたがポリパテとかプラばんのせきそうで『ガンダムをつくりました』とかもけいしのコンテストにはっぴょうしたりしたのはこのじきです。そのさいしょのころはやはり『できるからやっちゃった』みたいないきおいでむはんけんのファンかつどうといっしょくたのじきもありましたけど、ひかくてきはやいじきに、これをビジネスとしてしっかりやっていきたいというかくごがガレージキットメーカーがわにあったんでしょうね。
あのじき、たけだ(かんひろし げん、ガイナックスとりしまりやくとうかつほんぶちょう)たちが、はんけんもとからきょだくをうけて、こじんであってもイベントかいじょうでじぶんがつくったものをはんばいできるというしくみをひねりだしましたが、それがもう20ねんいじょうげんえきのシステムとしてうまくうごいていますし、たのイベントでもさいようされています。
とうじつはんけんのようなシステムがはつめいされたのは、ガレージキットにとってもしあわせだったし、メーカーせいのりったいしょうひんにとっても、ガレージキットのせかいでつちかわれたセンスがものすごくフィードバックされていますから、ひじょうによかったとおもいます」
たしかに。いっぱんてきにどうじんしはつばいイベントのかいじょうでは、まんがかやたんとうへんしゅうしゃに、そのさくひんのどうじんしがとどけられるこうけいすらみられることがあり、そのてんではぼっかてきであった。いっぽう、ゲームぎょうかいのようにまんが、アニメののちをおってファンかつどうのたいしょうのぶんやとしてぼっこうしてきたぶんやではよりはんけんかんりがきびしいケースもあるときくが、それはしじょうしょうひんとのキョウゴウのかんてんからみれば、もっともなはなしである。PCゲームはむしろりったいぞうけいぶつにちかく、すうにんのアマチュアが、そうプロとはかわらないさくひんをつくることがかのうではあるからだ。
「どうじんしにかんして、とくにわれわれがめくじらをたてることはこれまでしてきていませんし、ガレージキットについても、あまりしゅうせいなどきょうようしないようにしてきました。ただ、ろこつにね。はだかのフィギュアなんかはね(えみ)。
たとえばあやはで、はだかであるひつぜんせいのないフィギュアなんかはね。ちょっとやめてくれ、みたいないのはときどきありますね。あやはがスキだからつくってくれているのであれば、はだかでなくともうれるようなフィギュアをつくってほしい。それにはだかでないとうれないフィギュアは、やっぱりうれないですしね。
●せきにんははっせいしてくるだろうとおもうんですよ
――まんがのへんしゅうぶなんかには、コミケがちかくなってくると「あのさくひんのロゴのしょたいはなにか」などというといあわせがきたりするそうですね。
「われわれのところにも『どうじんしだしてもいいですか』といったといあわせは、ときどききますよ。でもこれについては『OKをだすことはない』としかこたえられませんね。これはもうあんもくのりょうかいみたいなものをよみとってもらうしかない。
きょだくをだすということは、できあがったさくひんについて、われわれにもせきにんがしょうじるということなんです。ですからさくひんについてかんしゅうをおこなうぎむもしょうじます。こうじょりょうぞくのもんだいもふくめて。
たとえばりったいぶつのしょうひんのばあいは、おおてメーカーのせいひんであっても、アマチュアどうじんのガレージキットであっても、しょうひんが、さくひんのかちをそこなってしまわないようにするせきむがあるとおもっています。きょだくするからには、じぶんたちにとってのかちをいじするだけではなく、それとおなじくして、てにとってくれたファンが、がっかりしないようにかんしゅうしていくせきむがしょうじる。キャラクターをかんりするとは、ひんしつやあんぜんかんりをふくめてそういうことなんです。
いっぽう、どうじんしのミリョクは、キャラクターをへんにいじったりかじょうなエロをもりこんだりするりょういきまでふくめて、そうしたかんりから、はずれたところにあるのではないでしょうか。ぎゃくにかんりされるはんちゅう(はんちゅう)のせかいになったら、どうじんしはもうつまらなくなってそんざいいぎもなくなってしまうとおもいます。
ようするに、どうじんしははんもとがせきにんをもたないというだいぜんていのもとでおもしろくそだっていると。そうしたじこせきにんでやってきたのがどうじんしだとおもいます」
――しかし、そうしたどうじんしのせかいにも、ずいぶんといぜんからにじりゅうつうをてがけるぎょうしゃがさんにゅうするようになってきました。
「グレーゾーンだとはおもうんです。てにはいらなかったものをほしいひとにわたすのは、あるいみではりゅうつうのしめいであるとはいえる。それに、そうしたぎょうたいがせいりつするということは、ユーザーさんもそれをのぞんでいるじょうきょうがあるともいえますよね。
ただ1000さつたんいでかいとって、それをはんばいするといったじょうきょうですと、それはもうファンかつどうではない。ビジネスだろうとおもうんです。だから、かぶしきがいしゃのかいしゃがね。おかねをだしてどうじんしをかいあげて、それをだいさんしゃにはんばいしているようなばあいだと、そのどうじんしのなかみにあなたはちゃんとせきにんをもてますか、ときいてはみたいですね。ビジネスになったしゅんかんに、そうしたせきにんははっせいしてくるだろうとおもうんですよ。そこのところをどうおかんがえなのか。
ぼくのきわめてこじんてきないけんですが、どうじんしってのはどうじんイベントでかうからおもしろいのではないでしょうか。ガレージキットでも、つうはんじゃなくてワンフェスのかいじょうでかうからおもしろいんだろうと。うるがわにしても、おまつりのばしょで、じぶんのえがいたえをよろこんでかってくれるおきゃくさんにてわたしするのが、どうじんかつどうのだいごみだとおもうんですよ。
だからつうはんとかのりゅうつうがかくりつされてくると、それはほんらいのたのしみかたとズレてきているようで、はんぶんはもったいないなあというきもちと、もうはんぶんは『それでいいの?』というきもちをかんじます。まあ、オヤジくさくなりますけど(えみ)。
もっとも、こうしたりゅうつうをひていすると『じゃあ、イベントにさんかしづらいちほうのひとはどうなるんだ』っていういけんもあります。ただ、むかしの、じょうほうがないじだい。じぶんたちがおもしろいものをほりおこして、いっしょうけんめいじんにしょうかいして、というかつどうからアニメブームがおきたじじょうをみてきたにんげんとしては、げんざいのじょうほうのかじょうきょうきゅうは、どこかいきづまりがくるんじゃないかというきはします」
げんざいはイベントかいじょういがいでもどうじんしをにゅうしゅするしゅだんはずいぶんとふえたが、それでもなつとふゆにはぜんこくからぼうだいな、あまりにもたすうのひとがコミックマーケットのかいじょうにやってくる。どうじんしをかうためだけならばたにしゅだんはある。しかしこれだけのひとがあつまるのは、おおくのひとがコミケをいっしゅの「さいてん」として、さんかしてかいじょうをめぐり、ふんいきをたいけんし、じぶんのめでさくひんをみてまわることをたいせつにしているからではないかとおもう。かいじょうにさんかしたことがあるほうならば、かみむらしのいけんにさんせいできるのではないだろうか。
きせいからハナレたところでそだったどうじんしのせかい。アマチュアでもきちんとはんけんきょだくをえられるシステムをかくりつしたガレージキットのせかい。しかし、げんだいはネットワークぎじゅつのはったつによりあらたな”ファンかつどう”がちゅうもくされるようになった。それはにじそうさくではなく、さくひんそのものをネットじょうにアップしてしまうこうい。こうしたいほうこういをつくりてがわはいかにかんがえるのか。5つき7にち(みず)こうしんのじかいにつづく。
[MouRaきょうどうきかく:おもしろさはだれのものか]
むれっかのデジタルコピーがよういになり、ネットをつかってだれでもはっしんできるじだい。きぎょうもこじんもそうさく・はっぴょうするなかで、きゅうらいのちょさくけんのしくみがひずみをおこしはじめています。
そうさくのありかたはどうかわるのか。いま、もとめられるちょさくけんのしくみとは――ちょさくけんのげんばからかんがえるれんさい「おもしろさはだれのものか」を、こうだんしゃのオンラインマガジン「MouRa」の「ザ・ビッグバチェラーズニュース」ときょうどうでてんかいしていきます。
「まんがトレースもおたがいさまだが……」 たけくまけんたろうしがかたる、げんばとちょさくけんほうのズレ どうじんしとひょうげんをかんがえるシンポジウム:(4)いうべきはいい、まもるべきをまもる ぎょうかいかわればちょさくけんもかわる? らくご、どうじんし、ソフトウェアのばあい 「まんがもファンがほんやく、P2Pでりゅうつう」「どうじんしよりコスプレ」――べいこくオタクじじょう