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【「えんじにあせいかつ」・ぎじゅつじんVol.9】13ねんぶんのおもい、「かぐや」とともにつききどうへ――JAXA・おがわみなし(RBBTODAY)

【「エンジニア生活」・技術人 Vol.9】13年分の思い、「かぐや」とともに月軌道へ――JAXA・小川美奈氏(RBB TODAY

Sat, 07 Jun 2008 00:22:59



 「しごとのやりがいはなにですか?」というといかけにたいするこたえはひとさまざまだが、おがわみなしのこたえはきわめてシンプルだった。「スキだから、おもしろい」。そうこたえてから「でも、こんなこといったらはなしがつづかなくなっちゃいますね」とわらった。おがわしがつとめるのはうちゅうこうくうけんきゅうかいはつきこう。「JAXA(ジャクサ)」のりゃくしょうでしられるどくりつぎょうせいほうじんだ。

ほかのがぞう

 うちゅうこうくうけんきゅう、かいはつをおこなうにっぽんでゆいいつのきかんであるJAXAは、ゆうじん・むじんのさまざまなうちゅうじぎょうけいかくをてがけている。H-IIBのようなロケットのかいはつ、こくさいうちゅうステーション(ISS)におけるにっぽんのじっけんとう「きぼう」のうんよう、さまざまなじんこうえいせいのうんようやかいはつなど、にっぽんのうちゅうかいはつをいちてにになうきかんだ。

 アポロけいかくいらいさいだいきぼのほんかくてきなつきたんさけいかくとしてせかいじゅうのちゅうもくをあつめているつきたんさえいせいき「かぐや(SELENE)」も、もちろんJAXAのプロジェクトだ。つきのきげんやしんかのかていをかいめいするためのちょうさがそのミッションだが、「かぐや」からおくられてくるハイビジョンえいぞうをP2Pはいしんするなど、そのたんさかつどうのいったんはネットワークをとおしていっぱんユーザーにもこうかいされている。

 かぐやがH-IIAロケットにのってたねがしまからうちあげられたのはさくねんの2007ねん9つき14にち。そのご、かぐやはちきゅうを2しゅうはんしてつきへむかい、つきしゅうかいきどうへとはいった。

 もじにすればたった1こうのかぐやのみちのり。だが、ただしいこうろ、よていどおりのつきしゅうかいきどうへはいるためには、おおくのスタッフがなんどとなくきどうのけいさんをおこなっている。うちゅうゆそうミッションほんぶ そうごうついせきネットワークぎじゅつぶ きどうりきがくチームにしょぞくするおがわし(けんきゅうかいはつほんぶ きどう・こうほうグループしゅにんかいはついんをへいにん)のおもなしごとは、「かぐや」をはじめとするじんこうえいせいなどのきどうをけいさんすることだ。

■じんのてでうごいているじんこうえいせいたち

 ちきゅうのまわりにうかぶじんこうえいせいがひやくてきにふえ、GPSやてんきよほうなど、うちゅうからのデータのおんけいをみぢかにかんじるようになったとはいえ、いっぱんのひとびとにとってまだまだうちゅうはとおい。うちゅうをめざすけいかくは、やはりこっかてきプロジェクトだ。
 
 それほどのだいきぼなけいかくであれば、とうぜん、じんこうえいせいのきどうなどは、あらかじめコンピュータでけいさんされつくされている。そんなイメージをいだきがちだが、じんこうえいせいは、いがいにもときどきこっこくとけいさんされながらとんでいるのだという。

 「うちあげてからのきどうというのは、けいさんによってときどきこっこくとわかっていくものなのです。もちろんどこへとんでいくかわからないとこまるので、うちあげまえに、どこからうちあげてどうとばすかというけいかくはたてます。でも、じっさいにうちあげると、たいようのかつどうやちきゅうのたいきのえいきょう、じんこうえいせいじたいのどうさなどによってびみょうにずれていく。ですので、じっさいのいちをしらべて、よていしていたきどうにもどすひつようがあるんです」

 たいきなどのじょうけんいがいにも、スペースデブリとよばれるうちゅうゴミのもんだいもある。
スペースシャトルやISSなどはもちろんうちあげまえにけいさんにいれるが、うちゅうにちらばるちいさなゴミまでは、じぜんにははあくしきることはむずかしい。そうしたちいさなゴミをさけていくのもきどうけいさん・きどうせいぎょのしごとだ。

 いちをもとめるさぎょうも、おもったよりアナログなほうほうだ。まずちきゅうのアンテナからえいせいへでんぱをおくり、そのでんぱがもどってくるまでのじかんをさんしゅつ。このじかんによってきょりをもとめる。どうじにドップラーこうかをしらべることでえいせいのげんざいのそくどをけいさんする。そうしたデータをいくつもとり、そのデータからえいせいのげんざいいちやそのごのよていこうろをさんしゅつするのだという。
 
 メートルたんい、センチメートルたんいでいちをしるためにはよりおおくのデータがひつようとなる。なんじかんもかけてふくすうのデータをとり、さらにそれを2〜3じかんかけてけいさんする。
 もちろんじっさいのけいさんはメーカーにいたくしているぶぶんもあり、「まいにちのしごとはふつうのサラリーマンとおなじですよ」とほんにんはわらう。だが、じんこうえいせいなどがうちあがったちょくごのクリティカルフェイズとよばれる、にんげんでいえばしんせいじしつにはいっているようなしょどうのじかんは、チームやメーカーかんけいしゃなどがシフトをくんで24じかんたいせいでそのゆくえをみまもる。じっさいのえいせいのきどうをけっていしていくために、ぶんたんいでよていをくんでけいさんをくりかえすという。
 
 「かぐや」がぶじつきのしゅうかいきどうにはいるまでには、こうしたきのとおくなるようなさぎょうがくりかえされていたのだ。

■まいかいがきそけんきゅうとチャレンジのくりかえし

 きがとおくなるさぎょうは、けいさんだけではない。プロジェクトじたいも10ねんたんいでけいかくされるものばかりだ。
 「かぐや」も、“かぐや”としてのプロジェクトじたいは10ねんていどだが、それいぜんのでんきすいしんでのつきへのひこうじっけんこうそうからかぞえるとさらにながいじかんをかけてねられたけいかくになる。こうしたちょうきのプロジェクトになると、じっさいにじっこうにうつされるまでに、かかわっているスタッフのいれかわりもある。ぎじゅつのしんぽによるけいかくのへんこうもある。もちろん、プロジェクトじたいのないようへんこうやついかていあんもでてくる。

 また、プロジェクトごとにあらたなかだいももちあがる。うちゅうかいはつじぎょうはまいかいことなるミッションやチャレンジをかかげてはじまる。そのため、あらたなじんこうえいせいのけいかく、たんさけいかくがもちあがるたびに、どういうほうほうできどうせいぎょをおこなうのがいちばんこうりつてきかを、プロジェクトにあわせてかんがえるひつようがある。
 
 せいどがたりない、じかんがたりない、あらたなせいやくがあるためつかえないといったじょうけんがあるため、じゅうらいのほうほうがつかえないケースもたたある。

 「『かぐや』とへいこうしてけいかくがすすみ、さきにうちあがったりくいきかんそくぎじゅつえいせい『だいち(ALOS)』などのばあいも、じゅうらいいじょうのせいどでいちをもとめるひつようがありました。メートルたんいでいちをはかるというようきゅうにこたえるためには、いままでのようにでんぱのおうふくじかんとドップラーこうかだけではむりだったのです。そこで、こうせいどのGPSをのせたり、レーザーをつかってはかったりというほうほうをかんがえていきました。でも、そういったぎじゅつはにっぽんとしてはそれまでにやったことがないため、きそけんきゅうからはじめるひつようがあるんです」。

 じゅんえんされるけいかくもある。「かぐや」ではとうしょ、つきへのちゃくりくじっけんもおこなわれるよていだったが、ぎじゅつてきななんいどから「SELENE-2」へひきつがれ、「かぐや」ではおこなわれないことになった。

 「さいしょのていあんをしたひとがだれもいなくなって、プロジェクトだけがすすむなんてこともめずらしくないのです(えみ)」。

■りょこうしゃとしてうちゅうへ

 このようにながくかかわるプロジェクトもおおいうちゅうかいはつじぎょうだが、なかでもおがわしがもっともながくかかわったのが「かぐや」だ。にゅうしゃの2ねんご、1994ねんからかかわりはじめ、うちあげまでに13ねんかかった。きどうせいぎょ、きどうけいさんをたんとうしていて、もっともうれしいのは、じんこうえいせいがよていどおりのきどうにはいったときだという。

「『かぐや』のばあいなら、つきのしゅうかいきどうにきちんとはいったときですね」とおがわしはふりかえる。

 がつのしゅうかいきどうにはいるしゅんかんはぜったいにミスできないじゅうようなポイントだ。ただしいタイミングでただしいほうこうにエンジンをふんしゃしないと、つきのまわりをまわらずに、どこかへとんでいってしまう。きどうせいぎょのたんとうしゃとして、もっともきんちょうしたいっしゅんだ。
 
 アンテナからよていどおりのドップラーこうかのデータがもどってくる。そのご、つづけてかぐやにとうさいされたカメラから、げつめんのいちぶがうつりこんだえいぞうがとどいた。

「ドップラーのデータがもどってきたときもうれしかったですが、やはりカメラのえいぞうをみたときはべっかくでしたね。じぶんがたんとうしていたじんこうえいせいが、ほんとうにつきまでいって、つきのまわりをとんでいるんだとおもったら、かんどうしました」。

 たちぎえすることもあるプロジェクトのなかで、13ねんかけて、かぐやはつきにとどいた。13ねんぶんのくろうがむくわれたしゅんかんだ。

 つきなみだが、「やはりじぶんでもうちゅうにいってみたいですか?」というしつもんをしてみた。

 「いってみたいですね。うちゅうひこうし(しごと)ではなく、うちゅうりょこうしゃ(プライベート)として」。おがわしはわらってそうこたえた。

 「うちゅうひこうしがちきゅうにきかんしてからのほうこくかいにいくと、どのうちゅうひこうしもくちをそろえて『ちきゅうはキレイだった』というんです。『ゆきがこなさとうのように』とか、『クリームをコーヒーにいれてかきまぜたような』とか、してきなひょうげんがくちぐちにでてくるほどですから、きれいなんだろうなとおもいます。それをぜひじぶんのめでたしかめてみたいです。しごとではなく(えみ)」。

 スキなことをしょくぎょうにすることがつねにベストとはかぎらないだろう。しかし、いきいきとうちゅうをかたるおがわしのかおをみていると、てんしょくというものはほんとうにあるのだとおもわされる。

【このニュースのかんれんきじ】
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