「“きちんとうごくもの”をつくれるひとになりたいですね」。アイオーデータキキのかいはつほんぶエンターテインメントかいはつぶデジタルホームかいはつかのかとうしんとおるしはそうかたる。そのよこではまさにしがてがけたテレビしちょう・ろくがようソフト「mAgicTVDigital」がデモどうさしている。「もううごいているじゃないですか」といいかけると、かとうしがさえぎるようにつづけた。「ユーザーにとってきちんとうごくものをつくるというのはそんなにかんたんじゃないんです」。
「mAgicTV」はPCようのテレビしちょうソフト。どうしゃのテレビキャプチャーボードやワンセグチューナーなどにふぞくし、ろくがをはじめとしたさまざまなテレビようきのうがそなわっている。ちじょうデジタルほうそうたいおうせいひんのリリースにあわせ、mAgicTVもデジタルほうそうたいおうのしんバージョン・mAgicTVDigitalがとうじょう。1080iやでんしばんぐみひょう(EPG)などデジタルほうそうにひっすのきのうはもちろん、キャプチャーせいひんのぞうせつによるさいだい8チャンネルのどうじろくがへのたいおうなど、PCようソフトならではのきのうもついかされている。
かとうしはどうしゃにてんしょくしてすぐ、mAgicTVのたんとうになった。そしてそのご、mAgicTVDigitalではデバイスのかんりやばんぐみよやくをおこなう「mAgicマネージャ」のかいはつにたずさわることになる。「しょうじきにいうと、ぜんバージョンのソフトをみたとき『これならおれがいちから(ソフトを)つくれば、(クオリティで)かてる』とおもっていたんです。なめていましたねえ」とふりかえる。「それで、0からつくりはじめたんですが、じっさいにかいはつをはじめたら、すぐにかんたんにこれにかつなんてぜったいむりだときづいて。『まいりました!』というかんじでした(えみ)」。かとうしがまのあたりにしたのはノウハウとけいけんのさだったという。
■けいけんがものをいうかいはつ
どうしゃへてんしょくしてくるまえは、さまざまなソリューションのソフトかいはつをてがけていたというかとうし。てんしょくのきっかけはUSBオーディオや、こがたスキャナづけめいしかんりソフトなどのせいひんにふれたことだという。「これからは、ソフトだけではうけないんだなとおもったんです。ハードといっしょになったソフトでなければダメなんじゃないかと」。しゅうへんききメーカーとしてハードをかずおおくあつかっており、おまけにかとうしじしんのじもときぎょうでもあるアイオーデータキキは、そんなときにピッタリのてんしょくさきこうほだったというわけだ。
だが、ハードにからんだソフトのかいはつは、そうぞういじょうにかってがちがったという。「たとえば、たんじゅんなソフトのかいはつなら、20パターンのテストをしたいとおもったら、かそうPCソフトで20だいぶんのテストをいっきにじっこうすればいい。クラッシュしたら、そのデータをみんなできょうゆうすればみんなでいっせいにデバッグもできる。でも、ハードウェアといっしょになっているばあいは、20パターンのテストをいっせいにするにはどうしても20だいのPCがひつようになる。どれだけかんがえてマクロをくんでも、PCIバスにカードをさすにはにんげんのてがひつようです。さらに、1じかんのろくがテストをやるとなったら、どんなにみじかくても1じかんかかってしまうわけです」。そのほか、クラッシュしたばあいも、じっさいのマシンをみてみないとげんいんはとくていできない。そのマシンがかいがいにあれば、あたりまえだがかいがいまでいってしらべなければならない。
ほかのがぞう 「テストをするだけでもこうりつてきでてきかくなプランニングをしなければいけない。クラッシュしたデータにしても、ほんとうにげんちまでいってしらべるべきかどうかをてきかくにはんだんするひつようがある。ハードウェアやさんっていうのは、そういうノウハウやけいけんがすごくちくせきされているんです。そういうぶぶんにふれると、ソフトしかふれていないじぶんはまだまだ“ぬるい”とおもいます」。かとうしはそうしてきする。
また、ソフトかいはつのめんでも、けいけんやノウハウのさをつうかんすることがあったという。mAgicTVで「よやくのついかとさくじょ」きのうをつくりなおしていたときのことだ。かとうしはどくじのアルゴリズムをてきようしてプログラムをかいはつ。じゅうらいバージョンよりかなりはやくどうさするようになったという。「それで、『よしよし、やった』とおもっていたんですね。それからマルチチューナーというどうじろくがきのうにたいおうするために、よやくのじゅうふくがないかチェックするきのうをつけていったんですが、これがうまくうごかない。そこで、まえのバージョンのかいはつたんとうしゃのほうにそうだんにいったら、かこのバージョンのぎじゅつをいろいろおしえてくれるんですね。そのアドバイスをうけて、『なるほど!』とつくっていったんですが、『それならさいしょからまえのバージョンをベースにつくればよかった!』ってきづいて(えみ)」。かとうしは、これをこんかいのmAgicTVDigitalのかいはつでいちばんあきれたできごとだとふりかえる。「おれのプログラムは、ノウハウもしらずに、ただはやければいいだろうというかんじでつくっていただけ。やっぱりながくつづいているソフトには、それだけのノウハウがいかされているんですね」。
■ちょくせつおこなってなおせないジレンマ
かわったのはあつかうものだけではない。ソリューションをおさめていたまえしょくとのおおきなちがいはこきゃくだ。「ソリューションというのはとくていのこきゃくがいます。そのこきゃくにせいひんをおさめて、そのごなにかトラブルがあっても、『すみません!』ってあやまって、あいてのところへいってなおせばいい。でも、コンシューマあいてのばあいはそうはいかない」。
たとえば、「うごかない」というこえがユーザーからあげられても、1にん1にんのところへいってなおすというわけにはいかない。まさしくうごくように、はんようせいのあるパッチなどをはいふするひつようがある。しかも、そうしたユーザーからのじょうほうには、ひつようなどうさかんきょうのじょうほうがたりていないこともおおい。かぎられたじょうほうからもんだいをきりわけて、げんいんをつきとめ、しゅうせいしなければならないのだ。それも、じゅうだいなふぐあいであればあるだけそうきゅうにたいしょするひつようがある。「『このじょうほうさえあればすぐにデバッグできるのに』ということもあります。なおってないバグがあるとよるもねむれないですよ。もうしわけないとおもうあいてもたくさんいます。ほんとうはぼくがぶんれつしていっせいになおしにいければそれがいちばんいいんですけど、そうもいかないので……」。ユーザーすうがけたちがいにおおいパッケージせいひんは、こべつではなく、いっせいにバグをフィックスしていくしかない。かとうしは「そういういみでは、もしかしたらパッケージせいひんのほうが、どういうトラブルがおこるかをよそうするのうりょくがようきゅうされるのかもしれない」とかんじているという。
■“うごくもの”をつくるのにひつようなものは?
「ただうごくだけならプログラムをつくるのはむずかしくはない」。かとうしはそういう。「たんたいのプログラムなら、むずかしいとおもってもどうにかつくることはできる。でも、たとえばmAgicTVのようにおおきなせいひんとなると、それだけではつくれない」。
プロジェクトがおおきくなれば、とうぜんじぶん1にんだけではつくれない。ちがうこうていをたんとうしているひとときょうりょくしなければならない。ことばのつうじないかいがいのひとともやりとりするばあいもでてくる。さまざまなかんきょうでのバグをフィックスするために、もんだいのきりわけやじょうほうせいりがひつようになる。かとうしがいう“きちんとうごく”プログラムをよにだすためには、けっきょくそういったさまざまなのうりょくがひつようになってくるのだ。「あたりまえだけど、あたりまえにいろいろなものをつくっているメーカーやエンジニアというのはすごいですよね。かりにこまかいバグがあっても、『バグはあるけど、ちゃんとつかえるじゃん』っていわれるとしたら、それだってすごいことですよ」。
わたしたちのてにとどく“あたりまえにうごくせいひん”のかげには、ぼうだいな“あたりまえにうごかないしっぱいさく”がある。おおくのエンジニアのけいけんやノウハウ、そしてぎじゅつりょくが、せいひんがうごく“あたりまえ”をささえているのだ。
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