「アラーキー」こと荒木経惟氏が67歳の誕生日を記念して先月発行した写真集「6×7(ロクナナ)反撃」(アートン)の巻頭に登場する難病の筋ジストロフィー患者がいる。東京都府中市在住の森山風歩(かざほ)さん(26)。自ら被写体になることを志願した。「ヌード写真を撮られることで、障害者の性をタブー視する社会や、自身のコンプレックスを乗り越えたい」。風歩さんの“自己表現”が共感を呼んでいる。(重松明子)
写真集は、アラーキーが愛用の6×7フィルムカメラで撮影した「過激な」写真を収録。デジタル社会と既成の美の基準へのアンチテーゼを込めた。風歩さんはその象徴なのだという。
ポルノ女優出身の作家、鈴木いづみさん(故人)を撮影したアラーキーの写真集を見て、「汚いところにある美を感じ取れる人」とファンになった。「好きな人には会う」のがポリシー。3年前に岡山県から単身上京した。講演会で知り合い、文章を見てもらった作家、原田宗典さん(48)が「仕事を手伝ってみない?」と誘ってくれたから。今は福祉サービス会社に所属する。
ミニスカートにネイルアート、ラメが輝く派手なお化粧…。そんないで立ちの風歩さんは若い障害者女性の相談にのることもしばしばだ。
「自分を障害者という狭い枠にはめちゃってる人が多いけど、障害に関係なく女の子としてやりたいことができるんだっていうモデルケースを自分が示せれば」。風歩さんはそう思っている。
かつては、人の顔を見て話せない子だった。体が思うように動かない異変を感じたのは小3のころ。不自由にしか動かない体のマネをされ、いじめられた。中2のとき、突き飛ばされてけがをし、検査を受けた病院で「筋ジストロフィー」と診断された。「理由がはっきりして、どこかホッとした」と振り返る。中3から車いす生活。
前向きになれたのは、養護学校の教諭、藤田純一さん(41)の叱咤(しった)激励があったから。「悲劇のヒロインになってんじゃない。自分の思いを自分の言葉で話せなくてどうする。つらくて苦しい状況を、どうしたら変えられるのか。泣いている暇があったら自分で考え、行動しろ」。本気でぶつかってくれた。
「今の医学では筋ジスは治らない。でもその中でべストをつくそう」。自分の意識が変わっていくのが分かった。自分から告白したことはないが、16歳の時から常にカレシがいる。
付き合っている2つ年下の藤井遼さんは「派手な格好やヌードモデルなど、一般的な目からは簡単に受け入れにくいとは思いますが、それでも自分を貫き通す意志の強さに魅力を感じる」。写真を撮ったアラーキーは「不器用にしたたかに生きてる生身の女は魅力的。彼女はコンプレックスなんて突き抜けた強さを持ってる。だから受けて立ったんだ」と話す。
ヌードになったのは表現の第一歩。今、私小説を書き進めている。
23日まで出版記念写真展「67反撃」が東京都江東区清澄1の3の2の「タカ・イシイギャラリー」で開催されている
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