◇記念乗車券も完売
近鉄伊賀線から運営を引き継いだ第三セクター、伊賀鉄道(伊賀上野―伊賀神戸)が1日開業、上野市駅(伊賀市上野丸之内)であった出発式では、近鉄や伊賀市など行政関係者のほか、大勢の鉄道ファンがホームに詰めかけ、新たなスタートを祝った。【傳田賢史】
近鉄伊賀線は利用客の低迷が続き、06年度決算で4・1億円の赤字を計上。近鉄が今年3月に同社を設立し、同市は株式の一部を取得した。同市が今年度以降10年間で総額6億6500万円を支援することで、当面の存続は決まったが、同鉄道では16年度も2億8000万円の赤字を見込んでおり、課題を抱えたままの再スタートとなった。
この日朝、同駅前広場であった出発式では、同鉄道の中村精一社長が、安全輸送に努めるとした上で「お客さまのために存在していく、皆さんの会社。可愛がってほしい」とあいさつした。
続いて、ホームでは招待された地元の私立白鳳幼稚園(同市上野丸之内)の園児代表が運転士に花束を贈呈。県立上野高(同)の鉄道同好会前部長、森喜駿さん(18)がデザインしたヘッドマークが取り付けられた記念電車が定刻の午前10時33分、伊賀神戸駅に向けて出発した。
この日は、開業を記念して作られた伊賀焼の記念乗車券500枚も発売。朝5時過ぎの発売開始から、4時間足らずで売り切れた。
同鉄道は中村社長以下役員4人、社員37人で構成。いずれも近鉄からの出向で、中村社長も近鉄の常務を務めている。
◇「乗り継ぎ不便」苦情も
華やかな開業セレモニーの一方、伊賀鉄道の運行初日、利用客からは近鉄線との乗り継ぎが不便になったとの声が上がった。
伊賀線は近鉄から離れ、運行主体が第三セクターの伊賀鉄道に移ったため、乗車券の取り扱いが原則、伊賀上野駅から伊賀神戸駅までの同線区間だけとなった。近鉄線を乗り継いで大阪や京都へ向かう場合、同駅で改めて近鉄券を購入する必要がある。
ただ近鉄の特急券と乗車券をセットで購入する場合に限り、上野市駅の窓口でも買える。しかし、伊賀線自体の乗車券は自動販売機でしか販売しておらず、こうした場合でも、伊賀線の切符は一緒に窓口で買えないなど、利用客には分かりづらいシステムとなった。
伊賀線を乗り継ぎ、月2回程度、大阪市に買い物に出かけるという伊賀市上野丸之内の主婦(70)は「不便になった。以前のように、乗車券の購入は1回で済むようにしてほしい」と不満を話した。
この日、上野市駅の窓口では同様の苦情が相次いだが、同鉄道は「改札機に多額の設備投資をする必要がある」と話し、現状では改善は難しいとの見方を示した。【渕脇直樹】
〔伊賀版〕
10月2日朝刊