JRAの3歳マイル王決定戦、第13回GI・NHKマイルカップ(1600メートル芝)が11日、東京競馬場で開催され、四位洋文騎乗の1番人気ディープスカイ(牡3=昆厩舎)がメンバー最速の上がり3F33秒9を繰り出し快勝。3歳マイル王の称号を手にするとともに、競馬の祭典・第75回GI日本ダービー(6月1日、東京競馬場2400メートル芝)の最有力候補に名乗りを挙げた。やや重のコンディションで行われたレースの勝ちタイムは1分34秒2。四位は同レース初勝利、昨年の1番人気ローレルゲレイロで2着と涙をのんだ昆貢調教師は、開業9年目にして初のJRA・GI勝利を挙げた。
2着には1馬身4分の3差で3番人気ブラックシェル(牡3=松田国厩舎)、3着には最後方から追い込んだ14番人気ダノンゴーゴー(牡3=橋口厩舎)。2番人気に支持された武豊が騎乗するビリーヴの仔ファリダット(牡3=松元厩舎)は、掲示板を確保する5着が精一杯だった。
文句なしの快勝。ただ、ディープスカイの強さが際立ったレースだった。“勝って当然”とばかりに、レース直後の四位からは派手なガッツポーズはなし。1番人気といっても単勝4.3倍、戦前の混戦模様オッズがウソのような完勝劇だった。
「この馬のいいところは最後の脚。しまいは相当いい切れ味ですからね。その辺を発揮させようと思ってレースをしたんですが、いい脚でした」
四位が絶賛した末脚は、前走の毎日杯に続いてこの日も爆発。2歳王者ゴスホークケンが果敢に飛ばしたペースの中を、前半は後方3番手から追走。ペースが落ちた4コーナー手前の大けやきの向こうから徐々にポジションを上げていくと、直線は迷わず馬場の四分どころに突っ込んだ。
「雨で馬場が悪くなっていたので、みんな外を通るだろうなって思っていたから、いっしょに外は回りたくないと思っていました。きょう、僕が通ったところは悪くなっていなかったんですよ。レース前からあそこを通りたいと思っていたんです」
前日からの雨の影響で、芝コースの内側が悪化していた。四位の読みどおり、各馬がコンディションのいい外へ進路を取る中、ガラリと開いたインを選択。まだ踏み荒らされていないギリギリの箇所を走らせた鞍上の好プレーが光った瞬間だった。
外を回った馬と比べ大幅にコースロスをなくし、後方3番手にいた馬が直線に向いた時には、先行勢はもう射程内。あとは、いち早く抜け出したブラックシェル目掛けて、自慢の末脚を伸ばすだけ。四位のステッキに応えて弾けたディープスカイがマークしたラスト3Fは、なんと33秒9! やや重のコンディションを考えると、これは破格の切れ味だ。
「通ったコースも狙い通りでした。勝つときはこんなもんです(笑)」
皐月賞6着馬に抵抗する間も与えず、1馬身4分の3突き放してのゴール。完ぺきな勝利だった。
昨年の同レース1番人気に支持されたローレルゲレイロで2着と涙をのみ、今年の勝利で雪辱を晴らした昆調教師は大満足の表情。毎日杯を快勝しながら皐月賞をパスし、NHKマイルカップ一本に狙いを定めた勝利に、「GIでの消耗を考えると、GIを勝つためには皐月賞をパスした方がいいと考えた。自分がやったことは正しかった」と胸を張った。 また、「内容次第で、と考えていました」と温めていたNHKマイルカップから日本ダービーへというローテーションにも前向き。「オーナーとの相談になりますが、個人的にはきょうの内容ならダービーに行ってもいいなと思います」と、トレーナーは事実上のダービー殴りこみ宣言だ。
「距離は未知の世界だけど、折り合いに心配がある馬ではないですからね。出るんだったら当然、有力馬の1頭になると思います。今年、僕はダービーで乗る馬がいないんで、ぜひ出走してほしいですね」
四位も昨年のウオッカに続くダービー連覇に向け、笑顔で出走を後押しする。毎日杯では先週のダービーTR青葉賞を快勝したアドマイヤコマンドを子ども扱いしているだけに、能力比較なら四位が語ったとおり有力候補は間違いない。いや、皐月賞馬キャプテントゥーレが骨折で戦線離脱した今、最有力候補にのし上がったとも言えるだろう。
大混戦と言われたクラシック戦線、遅ればせながら本当の主役がここに誕生したか。